[011]「勉強」と「楽しい」をつなぐ難しさ

2017年02月09日

 

先日,C-dass部門のランチミーティングに参加しました。C-dassは,大学付近の中学校で複合的支援をおこなっているプロジェクト型の部門です。複合的支援とざっくりと示したのは,支援活動が多岐に渡るからです。授業中の学習支援をおこなったり,放課後学習教室の運営をおこなったり,保健室を利用する生徒とコミュニケーションを取ったり,文字通り学校の「猫の手」になっているわけです。

今回のミーティングでは,次回の放課後学習教室で扱うコンテンツについての検討をしていました。学生主体で生徒の学びを生成する放課後学習教室は,良くも悪くも学生次第なところがあります。それゆえ,自由過ぎてかえって身動きがぎこちなくなるふしがあるようです。なかでも,そもそものコンセプトについては,決めきることができず難儀している様子でした。なんのために放課後学習教室をおこなうのか,生徒はどんな放課後学習教室を求めているのか。学生はどんな放課後学習教室をおこないたいのか,先生方はどんな放課後学習教室にして欲しいと考えているのか。自分を含む様々なステークホルダーたちの多様なニーズに直面し,どう立ち振る舞うべきかを悩んでいるようにも見えました。

生徒にとって本当に必要な支援を考えて実行する。C-dassはこのミッションを掲げて行動している部門です。だから,先生に「授業内容の補習をやってほしい」と言われても,すぐに「はい!やります!」と言い切らない思考が大前提になっています。結果的に先生の言う通り「授業内容の補習」をおこなうにしても,それが本当に生徒に必要な支援だと思えてから実行するわけです。腑に落ちる瞬間が訪れなくてはならないわけですが,どうもなかなかそれが難しいわけです。

「この1時間(放課後学習教室)だけでも「勉強って楽しい」って思わせられたら…」ミーティングの途中にある学生が口にした言葉です。「勉強」と「楽しい」が「って」のたった二文字でつながっているのです。口に出してしまえばこんなにシンプルな文なのに,どうにも実現しにくいことです。しばらく(あるいは,ずっと)この言葉が部門の皆を悩ませるのでしょう。でも,考えるだけでは考えたことすら存在し難くなってしまうので,ぜひ,実行しながら考えてほしいと思います。     
 


学生室長 Takuya Kobayashi