[004]社会の「構造」に目を向ける
2016年11月07日
先日、2回目のcodolaboゼミを行いました。初回は参加者の所属している学問分野をそれぞれ紹介してもらいました。今回は、誰も所属していない分野の考えに触れる第1弾ということで、ジークムント・バウマンの『リキッド・モダニティ 液状化する社会』(森田典正訳、大月書店)の「序文」を読みました。
この作品を扱ったのは、この作品が、社会の諸事象に対する考察を踏まえて、構造レベルでの論を提出しているからです。使い古された言葉で言えば、マクロな視点で社会を見るという行為が行われているのです。ですから、内容についての理解を深めることもさることながら、視点自体を獲得することも狙いとして含んでいました。
構造についての議論ができるようになると見えてくることがある、僕は自分の経験からそんな実感を持っています。一つ一つの現象から抽出した共通項をもとに、それらの現象が生起するそもそもの構造上の問題点を考えていく。それによって、行き止まりだと思っていた道に新たな道を見出せることがありました。一つ上の階層に登って、自分がいた階を俯瞰してみるようなイメージです。そんなところに道が隠れていたのかと、あっさりと分かってしまうことが多々ありました。右に左に動いてダメなら、上下に動いてみる。この上下の動きを獲得するうえで、僕は、現象群が作り出す場の構造に着目できるようになる必要があると考えます。もちろん、構造に目を向ければ万事解決、とはいきません。あくまで方策の1つではありますが、意外とこの視点を獲得するのは難しいようで、みんなで読んだ価値はあるように思います。
学生室長 Takuya Kobayashi